保育実習中、信頼関係は築けるの?
保育実習は10日間ほどの期間が多いと思います。
実習では、全て同じクラスに入ることもあれば、2日ずつ全てのクラスを周ることもあります。
どちらにしても、この短い期間に子どもと信頼関係を築くことはとても難しいことです。
そして、
「子どもになんて話しかけたらいいんだろう?」
「人見知りされて嫌がられる…どうしたら心を開いてくれるだろう?」
と悩む方も多いことでしょう。
実は、現役の保育士でも、子どもと信頼関係を築くのには数カ月以上もの時を必要とします。
このことはぜひ、頭に入れておいてほしいと思います。
ただ、子どもと関わる貴重な機会に、少しでも子どもと信頼関係を築きたい、と思う気持ちはとても大切です。
たとえ2日しかそのクラスに入らなかったとしても、
- 昨日は喋ってくれなかった子が今日は自分から喋ってくれた
- 朝泣いていた子どもが帰りには笑ってバイバイしてくれた
など、子どもの変化を感じ取ることができる可能性は十分あります。
その変化がこちらの働きかけによるものだとしたら、とても嬉しいものです。
この記事では子どもと信頼関係を築くコミュニケーションのコツを4つお伝えします。
信頼関係を築くためのコミュニケーションのコツ4選
1. 笑顔
無表情な人よりニコニコ笑っている人のほうが、親しみやすいですよね。
子どもは、保育士が笑顔でいるだけで、ホッと安心できるものです。
大笑いする必要はありません。
疲れるほど笑顔で居続ける必要もありません。
自然で、柔らかく、穏やかな表情を心がけてほしいです。
ポイント:
- 口角をあげる
- ほっぺを持ち上げる
どちらも筋肉を固めるのではなく、柔らかくほぐすイメージでやってみてください。
2. 言葉かけ
積極的に言葉かけするようにしましょう。
子どもは「自分に関心を持ってくれている」と嬉しい気持ちになります。
少しずつ心を開いてくれますよ。
ポイント:
- 声の大きさは場面に合わせる:集団遊びで盛り上がるときは大げさに、集中して遊び込んでいる時はそっと話しかける
- 子どもに寄り添う言葉かけ:「これは今やりたくなかったんだね」
- 気持ちを汲む:子どもの気持ちを代弁して言語化「これが欲しかったの?」「悲しいね」「悔しかったんだね」
- 認める:褒めるとは少し違うニュアンス。子どもを丸ごと受け入れる「高く積んだね」(事実を伝える)
3. リアクション
『保育士は俳優になれ』
と学校のある授業で教わった記憶があります。
感情豊かな人には魅力を感じませんか?
私は正直、家庭環境などの影響で、感情に乏しい人間です。
よく「いつも冷静だよね」と言われるタイプです。
でも、子どもにの前では少し大げさに感情表現をするようにしています。
まさに俳優になったつもりで、以下のように応答しています。
リアクションのポイント:
- 喜怒哀楽を言葉にする:「すごい!嬉しいね!」「それは悲しかったね」「楽しかったね!」
- 表情を豊かに:眉を上げる・目を大きく開く・にっこり笑う
- 身振り手振りを使う:拍手する・親指を立てて「グー!」・頷く・「え~ん」と泣くフリ
- 応答的に関わる:子どもの行動や言葉を受け止めて、こちらから反応を返す
こうしたリアクションがあると、子どもは「先生が見てくれてる」と感じやすくなります。
「応答的に関わる」はリアクションと結びつきにくいかもしれませんが、一方的な関わりにならず、子どもとのやりとりを大切にしながらリアクションを返していきましょう。
また、常にオーバーである必要はありません。
表情だけでも十分に伝わることがあります。
私は子どもを褒める際、「自分でできたの!?かっこいいね!」と言葉かけすることもあれば、目を見開いて驚く素振りをしてからハイタッチをするという風に、「肯定」を伝える手段として、表情や動作も活用しています。
ほんの少しの工夫で、子どもとの距離がぐっと近くなりますよ。
最初は気恥ずかしいかもしれませんが、ぜひ試してみてください。
4. 距離感
人にはパーソナルスペースというものが存在します。
スキンシップは大切です。
でも、
- 触られるのが苦手…
- 注目されると固まってしまう
- 心を開くのに時間がかかる
そういう子どもがいることも知っておいてほしいです。
また、相手は人間なので、礼儀をもって関わってください。
距離感をもって関わるポイント:
びっくりさせない
つい「わぁ!」と驚かせて距離を縮めようとする大人がいますが、子どもを怖がらせることもあります。子どもの性格をよく見極めてからにしましょう。
いきなり近づきすぎない
人見知りの子どもは、急に近づかれると警戒します。少し離れた距離(体感では1メートルほど)から見守り、肯定的な言葉かけから始めましょう。
声の大きさに気をつける
保育士=元気いっぱいというイメージがありますが、最初は「穏やか」「優しい」印象のほうが子どもは安心しやすいです。
子どもに何かをする時は許可を得る
これは「礼儀」としてとても大切です。「人権」の意識にも繋がります。たとえば、
- オムツチェック前に「見てもいい?」
- 抱っこの前に「抱っこしてもいい?」
- おもちゃの片付け時も「片づけていい?」
このような配慮の積み重ねで、子どもは「自分を大切にしてくれている」と感じ、心を開いてくれます。
まとめ|大切なのは「信頼されよう」としすぎないこと
子どもと信頼関係を築くのにはとても時間がかかります。
実習期間は短いですが、焦りは禁物です。
子どもに寄り添おう、ありのままを受け入れよう、という姿勢を大切に。
そして、「実習中に深い信頼関係を築けなくても大丈夫」ということを頭の片隅に置いておきながら、少しでも心を開いてもらえるよう実践してみてください。